催眠術と呼称している時点でお察し(?)かと思います。

ステージ催眠 (=メスメリズム≠催眠) の話がメインになります。

ということで、第1回目の内容は…タイトルからして出落ち感がありますが…

催眠術は存在しない

正確に言うのであれば、定義がなくなりました。

2003年(2005年改定)の定義は学術的要素が多く様々な事象について言及がされていましたが、2014年(最新)からは一般向けにかなり単純化された内容に変わり、その際に幾つかの要素が消えました。

催眠の定義について

現在催眠関連で定義されているのは以下の4つです:

  • 催眠
  • 催眠誘導
  • 催眠感受性
  • 催眠療法

なお、催眠は状態として定義されているため、「催眠をする」って言い回しも実は変だったりします。

これは現時点で最新の定義ですが、大体7〜8年サイクルで変化するものなので、そろそろ新しい定義が出てくる可能性もあります。来年くらいにもしかすると「催眠術」の定義が戻ってくるかも知れません(1つ前の定義では催眠術についての言及があった)。

消えた定義

前回の定義から今の定義に更新されるにあたり、馴染み深い要素が2つ消えました。

1つは既に述べた催眠術(Hypnotic procedure)で、もう1つが被暗示性(Suggestibility)です。

つまり、令和3年の現在どころか…2014年以降に「催眠術」や「被暗示性」という単語を日常的に使っている催眠術師がいたら間違いなく無知です。定義を知らない彼(女)らは、恐らく持っている理論も相応に古く、アドバイスも的外れである可能性があります。

まぁ、私も数年前まで「催眠術」とか「被暗示性」なんて単語を使っていましたし、情弱で無知な1人だったわけです\(^o^)/
(日本で出回っている情報だけを集めると必然的にそうなりやすいんですよねぇ…)

今後、催眠を覚えたい、或いは上達させたいと考えている人は、その教材にこれらの単語が過剰に含まれていないかを軽くチェックするだけでも外れを引きにくくなります。

なお、催眠が起こる原理として「変性意識状態」が挙げられていた場合、見る価値は殆どありません。変性意識状態によって起こる、変性意識説は2007年頃にほぼ完全に否定されているからです。トランス状態も現在ではあまり使われていない概念なので、注意が必要です。

地雷ワード

  • 変性意識状態
  • トランス状態
  • 無意識(潜在意識)
  • 右脳左脳
  • 思い込み(プラセボ効果)
  • 催眠術 ← new!
  • 被暗示性 ← new!

乖離も既に原理としては認められてないと言いますか、被暗示性と共に最近の論文ではほとんど見かけない単語になっています。

その代わりかは分かりませんが、"responsive to suggestion"(暗示に対する反応性)みたいな言い回しをよく見かけますね。

いずれにせよ、これらの単語が過度に使われていたり、注釈無く使われている場合、その教材の価値はかなり怪しくなります。

加えて言うなら、催眠は無意識を操るわけでも、潜在意識に語りかける手法でもありません。これについては会員向けの記事で言及した気がしますが、もしかするとしてないかも知れません…(ぉぃ)

ちなみに、プラセボと催眠は別だって話は次の投稿でしています。
催眠術、実は○○では無かった!?(会員向け)

私が初心者にオススメしている『はじめての催眠術』は、タイトルは別として文中にこれらの単語がほとんど出てきません。出てこないからこそ薦めているとも言えます。

催眠術って言葉は使いやすい

定義が既に存在しないため、催眠風のトリックや、催眠類似現象もまとめて催眠術と呼んでも逆に問題ないのでは?と思っています。

要はメンタリスト(心霊商法詐欺師)が言う「波動の力」とか「霊的な力」と同じで、「催眠術によって〜」みたいなことが言えます。

当サイトでの「催眠術」

最初にも述べていますが、ここで言う「催眠術」はトリックや騙し何でもありのステージ催眠の手法全般を表すと思ってください。或いは、マジシャンが観客に向けてカードを分かりやすく「トランプ」と言うようなノリで「催眠術」と使うこともあります。

催眠状態へと導く手順や真面目な催眠の話をする時は定義に則り「催眠誘導」と呼称します。

今後ももし文中に「催眠術」という単語が出てきたら、別の意味が含まれていると思ってくれると助かります。

おわりに

ということで、第1回目は催眠術は定義が存在しないよって話でした。

このシリーズがいつまで続くかは分かりませんが、まだ暫くは催眠関連の定義やら理論の小話が続きそうです。

一応、目標としては古典的催眠誘導法やステージ催眠でよく見かける手法までは紹介しようと思っています。

硬直から始める催眠は200〜300年前のメスメリズム(≠催眠)由来ですし、ほとんどが考案者不明な上に、理論も現在ではほぼ使えないものなので、一般公開しても特に問題ないかなと…

なお、当サイトのサブスクリプションに登録すれば、よりディープな話や現代理論に基づく効率的な手法について言及されている投稿を読むことができます。

→ 定期購読と登録方法について(追記:2021年2月26日)

会員向けに催眠の古典的手法の現代アレンジなども今後はちょいちょい紹介する予定です(既に幾つか出していますね…)

「マグネティック・フィンガーをやるくらいなら、類似の知名度が低く、より効率的にスクリーニングできる手法を使いましょう」とかそういう話です。

補足:

ステージ催眠の手法は、催眠誘導という観点から見れば非効率的ですが、舞台芸術としては完成されていると言えます。

なんせ、メスメリズムよりも更に前から「神の奇跡」として伝道師によってパフォーマンスが行われてきた歴史があり、現在にまで残るくらい洗練された手法だとも考えられます。

注意すべくは、その本質が対多人数を想定したエンターテインメント(或いは宣教)であり、狙った個人に対して行うものではないことです。

催眠関連の本やレクチャーは対個人に対してこの古くからある集団向けの手法を用いようとするものが多いのですが、明らかに用途を間違えています。

狙った個人に対する誘導率を挙げたい人は、メスメリズム(≒ステージ催眠)ではなく、催眠を勉強すべきです。

会員向けですが対個人への誘導率を上げたい人は次の投稿がオススメです。
→ 催眠誘導を効率化するたったひとつの考え方 - 会員向け