『リアル・エースカッティング』の感想

ベンジャミン・アールの「リアル〜」シリーズの2作目、リアル・エースカッティングの感想です。

元々買う予定は無かったのですが、福袋に入ってたんで見てみたら面白かったと言う話です。

リアル・エースカッティング

デックの中から4枚のエースを取り出す方法についてのレクチャー。詳しくは以下の引用か上のPVを御覧ください。

エースカッティング【Ace Cutting】
シャッフルされたデックのおもて面をざっと見てエースの位置を“記憶”し、そこからシャッフルやカットを行って4枚のエースをカットして取り出す現象。

マジシャンであれば、この現象を実現する原理は想像つくと思います。カル、フォールス・シャッフル、フォールス・カット、そして数種類の“出し方”。これはその通りで、このDVDでも各種のテクニックは時間を割いて解説されています。しかしこのDVDの価値は、そこではありません。

リアル、ということ
もしもこの現象をタネもなく本当に行うとすれば、どういう風に見えるでしょうか?DVDの中に出てくるキーワードの一つが「信憑性」です。本当にしているという信憑性が感じられなければ、これは単に「上手なテクニックで、どうやってるかは分からないけど上手いことカードをコントロールしてるデモンストレーション」になってしまうからです。

様々なテクニックをどのように使い、組み合わせ、どのような意識とアプローチで行えば、「本当にこれをしている」という信憑性が出るのか。「上手にフォールスをしている」以上の『リアル』なものにできるのか。マジシャンですら引っかけられる『リアル』さを感じさせられるのか。

リアルに迫るためのアプローチ
事実、ベンジャミン・アールがこれを演じるときは、毎回混ぜ方や出し方が変わります。これはテクニックの引き出しが多いというよりも、アプローチの仕方によるもの。毎回が特別でオンリーワンの現象となり、それにより「本当にしている」という信憑性の説得力が強まるのです。ここで解説されているのは、それが行えるようになるための考え方と各種のテクニック、そして細かいけれども全体の説得力が大きく変わるたくさんの”ちょっとした工夫”です。

「リアル・エースカッティング」は、リアルな現象を長年追求したベンジャミン・アールの集大成。現象が「デックの中に混ぜたAを探し出す」というものなので、通常のカード当てにももちろん応用できます。マジシャンぽさが匂うフォールス・シャッフル/カットに限界を感じている人はぜひ見てみてください。一段違うリアルさがここにあります。

リアル・エースカッティング

ファースト・インプレッション

「基礎こそ奥義」を体現しているようなルーティンです。

使われているテクニックはどれも基礎的なもので、入門書に載っているような技法だけで成立しています。それを如何に組み合わせ、即興で錯覚の強い動作に出来るかを追求した感じですね。

単純にベンジャミン・アールが巧すぎるってのもありますが、そこまでの精度が出せるかは別として、カードマジック初心者で入門書を読み終わったくらいの人にもオススメできる内容です。

4Aプロダクションが好きで、練習に時間を掛けることを厭わない人なら特に。

内容

パフォーマンス

正面からが1つ、後方からが1つ(似てるけど別のルーティン)が最初に流れます。

その後にイントロダクションに入りますが、基本的に「即興」を強調していますね。テクニックは多く紹介するけど、大事なのは即興だと。

カルとコントロール

テクニックの上手さよりも、タイミングや態度を重視していますね。

しかしですよ…ベンジャミン・アールは普通に上手いんですよ…そこまで上手かったらそんな観客の虚を突くようなことをしなくても…とは思うのですが、とにかく自然さやリアルを意識しているようです。

カル自体の解説は無いので、その辺は他の本や教材を当たる必要があります。

演出についてのアイディアが2つほどで、うち1つはカードゲームに関する話をしながらってのはそこはかとなくギャンブリング・デモンストレーションっぽいなと思ったり思わなかったり。

手に持った状態で

テクニックについては、オーバーハンド・シャッフルが2種類とリフルシャッフルとブレイクについての話があります。

リチャード・ターナーの『ザ・チート』ではフルデックのフォールス・シャッフルでしたが、こちらはコントロールに近いシャッフルです。

カードの出し方は5種類の技法…と言うよりは手法とかアプローチと言ったほうが近い内容が紹介されています。

リアルに見えるを相変わらず強調しています。

テーブル上

コントロール7種類の出し方7種類になります。

こちらは自分の環境とはマッチしないのですが、練習する意欲が湧くようなアプローチばかりでした。実際にデック片手に何度も見返しました(゚∀゚)

相変わらずベンジャミン・アールが上手いんですわ…

実演とブレイクダウン

さっきからこの見出しはDVDのメニュータイトルに合わせています。ブレイクダウンは解説って意味でよく使われますし、本編の字幕だと「実演解説」になっています。

気になったポイント

基本的に良かったのですが、いくつか気になるポイントがあったので列記していきます。

ベンジャミン・アールが上手すぎる問題

態度とかタイミングが大事と言ってますが、そもそも本人が技術的に上手すぎるので、本当に技術よりもそれらが大事かが分かりません。説得力に欠けます。

字幕

字幕と手元を同時に見るのが難しいので、2度見て片方は字幕を消したほうが良いかも知れません。字幕があると無意識にそちらを見てしまう私みたいな人は案外多いはずです(゚∀゚)

それと誤植があったり、内容に対しての翻訳が少なかった部分が若干気になりました。大事なところではないので大きな問題はありませんが、字幕が入る時間的な余裕があるにも関わらず短くまとめられすぎると、認知的不協和と言いますか…気になって集中が切れるんですよね…

この辺は字幕を消すか、音を消すかで解決しています。

画質が若干微妙

これはもう媒体そのものの問題なのですが…DVDのフォーマットで2時間越えると画質が悪いんですよねぇ…

動画の良いところは動きが分かりやすところなので、スライハンド系だったらもう少し画質の良いフォーマットの方が良かったなと。(ストリーミングやDLC方式が多くなってきたのはそのせいかも?)

これについてはちょっと思うところがあるので、別に投稿にするかも知れません。

環境的要因

リアル・デックスイッチの時も言及していましたが、演じる環境的にテーブルはほぼ必須です。

即興性が高いクロースアップマジック(?)なので、カジュアルな環境がより向いていると思います。プロの演目としては、環境をカッチリとセッティングできる人向けですね。

逆に言えば、即興で「なにかやってよ」と言われる状況だと使いやすく、テーブルさえあればスタンドアップでもできそうです。

まとめ

基礎こそ奥義(大事なことなので…ry)

ついでなので最後にもう一つ…

マジシャンとしてこれを演じるのはちょっと微妙かも知れません。カーディシャンとか本人の特技、スライハンド・アーティスト(?)的な見せ方が相応しいのではないかと。キャラによっては合わなかったり、観客とのラポールが築けず敵対される可能性もあります。まぁ、どの現象でも同じことが言えますがね…

ベンジャミン・アールの他の作品でも同じような印象があるのですが、この人は「マジックを見せる」というよりは、「本人の凄さから来る不思議」を見せるタイプだと私は考えています。目的とか方向性で言うとメンタリストに近い気がしないことも無いような?(めちゃめちゃメンタル系の現象をやりますし…)

マジックの原点に戻ろうとしている、は言いすぎかも知れませんが、薄っすらとそんなイメージを持ちました。

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