先日マジックマーケット2017で購入した

"Losing Control"(ルージング・コントロール)を読みました。

 

リー・アッシャー(Lee Asher)によるコントロールで、分類で言うと何でしょう?

パスのようなカットのような?ちょっとファジーな感じのコントロールです。

 

内容について詳しくは触れませんが、完璧に行うには適切なミスディレクションと大胆さが必要になってきます。

 

そして気が付きました…この技法、パス出来る人なら要らないと…

ルージング・コントロールでは動作がミスディレクションになっており、観客の視線を切りやすくなっているのですが、視線を外すことに長けている人であれば、パスのほうが動作感は少ない気もしたりしなかったりと言ったところです。

 

そもそも、最初の献辞に

『獣の中の獣ークラシック・パスーをマスターすべく、長き年月を費やしてきたすべての人へ、本書を捧げます』

リー・アッシャー 2010年

と有るくらいです。

 

パスとの相違点は、コントロールするタイミングにあります。

ルージング・コントロールではスプレッドを閉じた段階でコントロールが完了していますが、パスはスプレッドを閉じてから(或いは同時に)コントロールを始めます。

つまり、ルージング・コントロールではスプレッドをして揃えるまでの間に疑問を抱かれなければ良いのと、パスをある程度見慣れている人相手であればより効果が高くなるという特徴があると私は感じました。

 

更に言うとスプレッドを閉じる動作をする前後で、左右の手で別々の動きをしていますし、全体的に視線がバラけやすい構造となっているので、パスよりもミスディレクションが容易である思います。

 

ただ、パスよりも少しワチャワチャした感じにるので、人によっては好まないかもしれません。

 

それとですね…

動作が非常に簡単な分、練度がある程度無いと強烈なミスディレクションが生まれません…ヘ(゚∀゚ヘ)

少し練習していますが、ちゃんとやろうと思うと意外と難しいですし、もしやるとしたら観客と軽い会話をしてオフビートを意図的に作り出してやってしまうかと思います。

その場合、パスでも言いじゃん?という考えにまた戻るわけですが…(笑)

知人でよくルージング・コントロールのような技法をする人がいて、彼もやはり話しかけたりと少し間を開けてミスディレクションをするタイプです。知人がやっていたこともあり、興味があったのでルージング・コントロールを購入しましたが、やはり原案ではミスディレクションに関してもう少し工夫がありました。詳しく知りたい方は是非手にとて下さいm(_ _)m

ちなみに、ジョセフ・バリーのインスクリュータブルでもルージング・コントロールについて軽く解説が入っていますが、あくまで簡易的なものだったので、やはり著書を読んだほうが確実だと思います(インスクリュータブルはレッドだったかブルーだったかは忘れました!!!)

ジョセフ・バリー, ピーター・ナルディ

本物のルージング・コントロールは真面目に脳が騙された感が出ますが、私のように未熟者や巷の劣化コピーでは安っぽいミスディレクションに紛れ込ませる必要があります。

しかし、ルージング・コントロールを本当の意味で習得したのであれば、パスよりも違和感の少ない動きになるかと思います。

まぁ実際にはパスもある程度のレベルになって、余計なカバー動作を極限までそぎ落とせば自然で非常に強い技法なんんですけどね…

最近はパスをすると言ってる人が、動作そのものよりもカバー動作にこだわる傾向があるようで、見た目が散らかっているなぁと思うことがよくあります。せっかく動作が少なく一瞬で完結する動作なのに、自分から違和感を醸し出してしまうという何がしたいのか分からない状態です。

その点、ルージング・コントロールは著書通りに動くことが出来るようになれば、非常に綺麗にまとまるかと思います。

完成形からアレンジする要素もありませんし、技術的難易度も凄く高いわけでは無いからです。

色々書いてみましたが、これもあくまで1つの技法です。コントロールができるこをどうやってルーティンに活かすか、演出をどのようにすべきかが重要です。

アンネマンも言っていますが、現象が全てです。

手法はどんなにくだらないものでも、意図した現象とリアクションを得られるのであればそれで良いのです(^ρ^)

リー・アッシャー(著),富山 達也(翻訳)