非マジシャンの知人と話していて「マジシャン側から見て嫌な客ってどんなの?」という話になったので少し考察してみました。

幸いな事に本当に嫌なお客さんというのには遭遇した事がありませんので、数少ない経験と知人から聞いた話、それと想像で書くので悪しからず。

マジシャンから見た嫌な客!!(独断と偏見に満ちています)

マジシャン

これが一番やりにくいという話を聞きます。

私もマジシャン相手にやるのはあまり好きではありません。彼らが楽しいと思うポイントは技術的な部分だったり演出的な工夫だったりしますが、トータルバランスで見ている人があまりいないです。

なんというか木を見て森を見ず感があります。

私の場合マジシャンが来た場合は、手持ちのマジシャンを殺せるマジックをします。それか出来る人があまりいると思われていないマジック?をするようにしています。

途中で口を挟んだり手を伸ばしてくる客

演劇でもストリップクラブでもステージ上にいる人に手を出す様な人は中々いませんが、マジックだけはなぜか途中で手を出しても良いと思っている人が一定数います。

私もプライベートな時にマジックをする時は稀に遭遇しますが、数はそう多くは無い印象です。多いように感じている人は恐らく観客に舐められるタイプのマジシャンです。

こういう客に出くわしたり見かける度にマジックが他の芸と比べて評価が低いな、と感じます。

タネを話し始める客

上のと似ていますが、こちらはタネをこっそり隣の人に話したり、或いは他の人に聞こえるように話す人のことです。

マジックのタネを知っていると言う優越感に浸りたい人は結構いるようで、この手の人は割りと見かけます。ただ、優越感に浸るどころか、場の空気を完全に壊しているので空気が読めない人という印象を持たれるので、バランスを考えて発言して欲しいところであります。

こういう人を対処するのは結構簡単で、一般客ウケは少し落ちますが、少しマニア向けの追いにくいマジックがレパートリーにあると一瞬で迎撃できます。

ちなみに、空気を読んで演者がいなくなってからタネについて話す事に関しては褒められたことではありませんが、私は特に気にしません。

ただ、タネ明かしされるのが嫌いな人もいるので配慮は必要だと思っています。

 

もう1つ付け加えるのであれば、「分かった」と言った人のタネの正答率は、その人がマジシャンではない限りあまり高くありません。よく聞いてみるとどこかで矛盾していてその方法では再現が出来ないことが多々あります。

演技途中で大声で口を挟んでこない限りは無視するのが得策です(大声で口を挟まれるのはやはり舐められているってことですしね)

結論:

演者に対してリスペクトが無い人が嫌な客になる。

別にマジックに限ったことではありませんね(^ρ^)

プライベートで飲みの席などでマジックを披露する時に途中で手を出してくる人がいたと書いていますが、どうやって対処したかも書いておきます。

対処方法:

対処1:そこでマジックを終わる。

別にお金をもらってやっているということでなければそこで終了しても問題ありません。

対処2:好きにさせてからマジックを再開する。

途中で完全な改めをすればそこから黙る人もいるので好きに道具に触らせてから再開したこともあります。

対処3:手を出されても良いマジックをする。

ピュアなスライハンドや超精巧なギミックであれば一般の人が触ったところで問題はそう起きません。

ただ、ダブルリフトはあまり多用しないほうが良いかと思います。ダブルリフトは結構知名度があるので手を出すタイプの客は状況を考えずカードに触りに来ます。

対処4:ストリッパーデックやマークトデックを使う。

たまにいるのが、途中で手を出してきて急に1枚カードを引いて、「さぁ当てて見ろ」みたいなことを言う人です。こういう人はマークトデックを使えば障害になりません。一応マークトデックでは無さそうな演出は必要ですが、不可能な状況から当てれば割りと満足するのか黙ります。

特に我々が作っているマークトデックは隠密性が高くマジシャンでも探すのに時間が掛かるものなのでおすすめです(ダイレクト・マーケティング)。

しかもテーパー加工もされているのですよ!

そもそも途中で手を出された経験が少ないのですが、プライベートな状況だと多くても3つくらいしかマジックをやらないのが大きいかと思います。それとキャラですね。

必ずしも悪意があるわけではない

ちなみに、場の雰囲気が完全に壊れない限り、トラブルは必ずしも悪い結果をもたらすとは限りません。うまく対処することで尊敬を集めるともあります。そもそも、観客の無茶振りはマジシャンに対する期待の表れであることが多くあります。そして期待通り、或いは期待を超えるとその人は自分を宣伝してくれる非常に良いお客さんになることすらあります。

無茶だから断るのではなく、失敗前提でリスクを犯してみるのもありです。

偶然うまく行くこともよくある

以前にマジックを見せ終わった後、見ている人がカードを取り上げカードを思いっきり混ぜてから「さっきのカードを探し出してみろ」と言ってきたことがありました。

もちろん私はカードがどこに有るか分かりません。

出来なかったとしてもこちらにデメリットはなかったので、冗談めかして適当にカットしたところからカードを捲ってみました。結果は既にお分かりかと思いますが、偶然にも観客の指定したカードが出てきました。

こういうことは意外とよく起こります。

 

メンタルフォースではなく完全にフリーチョイスでカードを1枚言ってもらった時、たまたまトップにあったカードがコールされることも数度ありました。

ボリス・ワイルドも著書でマークトデックを使うメリットの1つとして偶然トップのカードをコールされた時と書いてあった…っけな?(ぉぃ)

いずれにせよ、トップカードを確認しておいて損はありません。(普段ネモニカを使っているのと、ボトムカードをピークする癖があるのでトップに何が有るかは把握していることが多いです)

大事なのは予防

病気でもトラブルでも同じで、予防が大事です。

割って入っこない様に物理的な障壁を作っても良いです。一朝一夕では身につきませんが、そういった雰囲気を身にまとうという手もあります。

また、予め話す機会があれば、それでどういったタイプの人かを見極めることも出来ますし、状況が許すのであればマジックをしないという選択肢もあります。

 

他にも「こんな客がいたら嫌だな」と思うタイプがあれば是非聞いてみたいですね(^ρ^)

 


参考までに…

観客の扱い方について言及されている本:

ケン・ウエバー (著), 滝沢敦 (編集), 田代茂 (翻訳)
ゲイ・ユンバーグ (著), 滝沢敦 (監修), 米津健一 (翻訳)

特に後者はタイトルの通りそういうことに特化した内容です。

ボリス・ワイルド (著), 富山 達也 (翻訳)

マークトデックは武器です。その武器をうまく扱うための方法がいくつも紹介されています。