先月の誕生日にとある方から頂いた、ピット・ハートリング氏による『カード・フィクションズ』(日本語版)を読み終わりました。

これ翻訳版が出たのは結構前ですし、私は今更入手したわけですが…

経緯をざっくり説明すると…

最近何かと噂のスカイツリー近くにある「うそのたばこ店」に行って、各種フォースやらメモライズドデックやらを使った現象を見せたら、ピット・ハートリング氏のルーティンと相性が良さそう、という意見を頂いたのが原因です(あそこではフォースの人という風に覚えられているっぽいですね…)

まぁ、他にも、『ジャーメイズ・マインド』のクレジットを見ていたらチョイチョイこの『カード・フィクションズ』の名前が出てきていましたし、上の経緯があり各方面に探しているという話をした結果、誕生日プレゼントとして頂く流れとなりました(゚∀゚)

相手の意識していない部分で仕込みを入れていくのは実に自分好みだなと思いましたね…(ちょいちょい力技が使われている部分もっ!)

カード・フィクションズ

1.Finger Flicker

言われた枚数を、人差し指で弾き出すという現象がメインのルーティンです。

以前にテレビで、プロのギャンブラーと言われていた方がやっていたものと同原理っぽい感じです。というか、当時は割とあれエスティメーションだけでやっていたと信じてたのを思い出しましたよ…/(^o^)\

ちょっと練習が必要そうですが、これは結構やってみたいですねぇ…

最終フェーズ以外はそこまで演者負担は無さそうですし、ちょっとしたデモンストレーションでやるには良いと思います。

2.Mater of the Mess

トライアンフのようでトライアンフとは違う現象。

ピット・ハートリング氏本人がトライアンフ現象とは違うと言っています。

表裏がごちゃまぜになった状態からのカード当てと、裏表を揃えた状態でカードを当てるという2段構成になっています。

第1段階で終わらせる事もできる構成になっています。また、第1段階と第2段階は意図的にルーティンを似せてミスリードさせようという試みがあったりと中々芸が細かいと言いますか、緻密な設計がされています(緻密な割に解決方法には若干の力技感があります…)

解説を読んでいて、カオス・シャッフルなんてものを初めて知りました。

カオスという名前がついているせいか、レナート・グリーン氏を思い起こしますが、同じくらいカオスな感じでカードを混ぜていきます。それはもうグッチャグチャ…

難易度で言うと、これもそこまで高くはありません。人によっては2つほどやや難しく感じる技法が使われているくらいです。うち1つは基礎技法であるものの、気軽な感じで正確にやれる人って意外と少ない気もします。

3.Colour Sense

ジャーメイズ・マインド第2巻のクレジットにもあったものです。

赤黒の順番を感覚で当てて、最終的にスートや数までも当ててしまう現象。

慣れてないと非常に難しいテクニックが使われています。

これに関しては、最近の来客者相手にやったり、出先で見せたらかなり良い反応が返ってきました。

日本だとあまり知られていない(出来る人が少ない)テクニックですし、このルーティンか派生のアイディアを知らない限りはタネを追うのはかなり難しいかと思います。

原理も現象もメンタルエフェクトと言えるものです。

4.High Noon

カード・アンダー・ウォッチに決闘という演出を加えたルーティン(原案はポール・ハリスのReflexだそうです)

カード・アンダー・ウォッチをする上での難点をルーティンの流れに上手く嵌め込んでいる印象があります。

カード・アンダー・〜〜系はジェームズ・ブラウンのルーティンが好きですが、こちらのほうがよく考えて作られています。

フォースが得意ならピット・ハートリングの、マーキュリー・フォールドが得意ならジェームズ・ブラウンのルーティンが向いているはずです。

個人的にはこちらのほうがストレスが少ないように感じますが、演出的には後者のほうが好きなので、このルーティンをやるかは微妙な所です(゚∀゚)

5.Cincinnati Pit

ラストにどんでん返し的なのがある、ポーカーデモンストレーションです。

ギャンブリング系らしく、リフルシャッフルでのコントロールやらディール系の技法やらが要求されます。

構成上、シンドい技法は観客の意識が外れるタイミングで行うので、通常のギャンブリング・デモンストレーションよりは楽かと思います。

やるかと言わると微妙なところですが、ギャンブリング系があまり日本人向けでは無いって問題のほうが大きいですね。

6.Triple Countdown

偶然の一致で当たるカードの派生。

ルーティンやハンドリングは全く違いますが、ざっくり言うとレギュラー・デックでやるトス・アウト・デックという印象があります。

ちょっとテクニカル…

7.Unforgettable

カード・メモリー系のデモンストレーション。

以前に記憶系のルーティンで小道具にオレンジジュースを使う人がいると小耳に挟んでいましたが、ピット・ハートリングだったんですね…

一部にデバイデッド・スタックが使われるので、普段やるルーティンのとの相性も良さそうです。

まだ実演をしたことが無いので、何とも言えませんが、少しやり難い感じはあります。演者負担が高いというよりは、演出的に少し合わないな…と思いました(まる)

総評:

言われた通り、技術面から言えば確かに私向きでした。

ただですね…?キャラクターが絶望的にマッチしませんよ!これ!

新しく覚えなければならない技法は1つも無かったですし、再現だけなら直ぐに出来ますが、全く同じ演出でやろうと思えたのは、既に人前で試しているColour Senseくらいです。他はかなり演出を変えないと少し厳しいです…

コラムを読んではっきりしましたが、ピット・ハートリング氏のパフォーマンスに対する考え方は、私の理想とかけ離れていました。なので、演出が合わないと感じるのはある意味当然です(゚∀゚)

まぁ、合う合わないを差し引いても、コラムの内容は素晴らしく、参考になりましたし、ルーティンも全体的に良く考えられていて良い刺激になりました。

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