HYPNOSIS

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催眠について

日本で手に入る一般書のほとんどが70~120年前のアプローチ(古典催眠)を基に書かれており、世界的に見たら理論も方法も時代遅れなものが主流となっているのが現状です。ただ古典的アプローチは原理や理論は既にほとんどが使えませんが、掛け方そのものは現在も通用するものがあるので、参考までに知っておくべきだと私は考えています。

また、速度が重視されるショー催眠では古典的アプローチで使われる一部の技術が、見た目、速さという部分で現代的アプローチよりも優位性があります。

信頼できる書籍の選び方としては過度に「トランス」という言葉が入っていないもの(エリクソン関連除く)、「変性意識状態」が催眠誘導に必要が無いことについて言及されているものを選ぶとハズレが少なくなります。

また、Cold Control Theoryについて言及されているものは信頼性が比較的高いです。

入門におすすめ

『催眠誘導ハンドブック』

エリクソンをベースにNLPを足して体系化したような内容。

原著が2003年出版で尚且エリクソン派であるため、内容は状態論寄りであるものの、様々な誘導法やエクササイズが掲載されています(一部日本語で使いにくいテクニックもあります)。

原則について書かれている部分は全て抑えておくべきほどです。誘導テクニックもダレン・ブラウン等がやる握手からの誘導やショー催眠で使えるような方法まで紹介されているので、これ1冊あればほとんど事足ります。

但し…エクササイズが難しいのと全体的に初心者向けとしてはややハードな内容になっています。それと、スクリプトを自分なりの日本語で再構築する必要があったりするので、自主学習ができる人向け。

また、内容はやや古いと言いますか、現代の主流ではない理論で語られていますが、これは著者が臨床や研究に携わる人ではないことに起因すると考えられます。(この辺は訳者の補足などで必要な情報がある程度補完されているので、実は日本語版のほうが情報精度が高いという…)

催眠術を覚えたての頃に読みたかった本。

現代の催眠

The Oxford Handbook of Hypnosis

洋書のため読むのが大変ですが、現状最も信頼できる書籍の1つです。

オックスフォード大学の出版社による催眠術のハンドブック(手引書)。催眠術について全面的な知識を得ようと思うならこの本がベストだと言われています。

後半から催眠療法についての内容がメインとなり、途中でエリクソンの手法についても項目があります。また、催眠の研究の歴史や2000年初期までの成果についてもよくまとまっています。「変性意識状態」が既に適切でない概念としてメスメルの動物磁気説と同じくらいのリスクが有ると書いてあったり、トランスは古い概念で催眠誘導とは全く関係ないと言われていたり、古典催眠の知識しか無い人には驚くべき内容が多々含まれています。

ダレン・ブラウンの推薦図書でもあります。

『現代催眠原論』

原論という割にそこまで包括的ではなく、更に独自解釈や独自理論も多く含まれています。内容的には『The Oxford Handbook of Hypnosis』の下位互換+独自理論と言ったところです。英語で読むのが辛い人にはオススメ。

なお、『The Oxford Handbook of Hypnosis』より後に発刊されている割に、そこで否定されている内容が反映されていなかったり、発行日の割に情報が古い印象があります。もしくは、著者が状態論を支持しているため、チェリーピッキングになっている可能性もありますし、単純に書き始めから完成までの期間が長かっただけなのかも知れません。

幾つか問題点があるにせよ、現状、日本語で読める現代的な研究について知ることのできる書籍であるため、存在としてはかなり貴重です。

催眠術の掛け方そのものについては言及が少なく、コツのような話が多いので、催眠術がある程度できる人向きです。「理論なんてどうでも良いからとりあえず掛けたい!」って人は1つ目に紹介している書籍を参考にしてください。
(なお、1つ目の書籍の訳者は、この書籍の著者だったりします)

催眠術そのものについて

催眠の謎

ジャーナリストが催眠術について書いた本。催眠術師ではないからこそのフラットの視点と、綿密な調査に基づく歴史や催眠についての考察は興味深いです。
問題点があるとすれば調査が2002年頃の変性意識説が否定される前までのため、やや状態論的な考えで書かれていること、最後の付録にあるスクリプトの有用性が未知数であることが挙げられます。
私はこの本でタイガー・ウッズに専属の催眠術師ついていることを知りました。