今回レビューするマークトデックの基準は以下の通りです
- 暗号形式ではないこと
- ライダーバック、若しくはそれに似たデザインであること
つまり、バタフライデックやフェニックスデックはここに含まれません。
特定のデザインに限定しているのは、やはりライダーバックがスタンダードだと私が勝手に思っているからです(^ρ^)
※点数をつけていますが、あくまでも個人的な感覚に基づくものです。
※2021年11月1日追記
Ultimate Marked Deck
現在購入出来る、唯一のライダーバックの工場生産品マークトデック。
謳い文句ほど隠密性が高いわけではなく、相手に渡すと比較的早くバレるタイプなので過信は禁物。
フレンチドロップでは5400円(+税)で販売されていますが、パノラマジックでは3600円(+税)、フェザータッチマジックでは3500円(+税)で販売されています。
ライダーバックのマークトは出ないと言われていますが、未だにこれだけは入荷があるので謎です(゚∀゚)
フレンチドロップだけ価格が高いのは、恐らく希少価値を見込んでだと予想されます。
- バックデザイン:ライダー・バック
- マーキング:2箇所
- 情報:そのカードの数字とマーク
総合評価:25点
隠密性:5 | 可読性:5 | 情報量:4 | 価格:3 | 入手性:8
今回のレビューにおける隠密性と読み取りやすさはこれが基準になるため 5点、他の要素は相対的な評価になります。
Boris Wild Marked Deck (BWMD)
マークを位置で表し、情報量を減らすことで隠密性が上昇しています。その分読み取りやすさがやや損なわれていますが、慣れると最高に使いやすいという声もあります。
自作するのが比較的簡単であるため、ライダーバックに自分で数字を書き込むことでより隠密性が高い個体を作り出すことができます。手先が器用な人であればデザインナイフが1本あれば十分です(時間は掛かりますが…)
アルティメイト・マークト・デックは相手に渡すとすぐにマークトデックだと露見しますが、こちらは渡してもすぐに気が付かれることはありません。相手によってはレギュラー・デックだと納得する人がいるくらいで、最初からマークトデックであることを疑わないと発見は難しいタイプとなっています。
最初に使っていた自作のマークトデックをこの形式でした。
- バックデザイン:メイデン・バック(旧)、フェニックス(新)、ライダーバック(自作)
- マーキング:2箇所
- 情報:そのカードの数字のみ
総合評価:23点
隠密性:8 | 可読性:5 | 情報量:2 | 価格:6 | 入手性:2 (自作10)
※現在流通しているものがフェニックス・バックであるため、ライダーバックの入手性評価が下がっています。自作する場合は入手性が上がりますが、作る手間を許容できるかで評価が変わりそうです。
Marked Cards
ペンギンマジックが作っているマークトデック
特徴は、無駄に多いマーキング!
6箇所あるため、相手の指が邪魔でマーキングが読めないってケースを高い確率で回避できます。
マーキング箇所が多い割に、隠密性はそこそこ保たれているように感じます。
より正確に言うなら、アルティメイトの方が小さく目立たないデザインと言えます。ただ、アルティメイトは左右非対称にマーキングがあるため違和感が出やすく、このマークト・カードは左右対称に配置されているため大きさに関わらず違和感がある程度抑えられています。そのためトータルで考えるとアルティメイトと同程度の隠密性と言えます。
また、エリート・エディションと同じ紙質、ネモニカ・スタックで封がされていることなどからもそっち系のマジシャンに特化した作りになっています。
個人的に不満なのは、スプレッドした時にマークがあまり見えないことで、大きめにスプレッドする必要があることです。
最もコスパの良いデック。
- バックデザイン:メイデン・バック
- マーキング:6箇所
- 情報:数字とマーク
総合評価:30点
隠密性:5 | 可読性:6 | 情報量:6 | 価格:9 | 入手性:4
The Code
News;MAGIC MOREでマークスマンデックとの比較レビューを以前に書いているので、そちらも参照下さい。
ネモニカスタックを前提としたマークトデックです。単体での販売は無く、レクチャー込みでしか売られていないのがややネックです。最近はリフィル単体でも販売されているようです。
マークが記号ではなくアルファベットDCHSで表されているため、若干の慣れが必要かも知れません。
隠密性はアルティメイトよりも更に落ちますが、用途や使い方的にマークトデックであることが露見しにくいため、意外と問題ない可能性もあります。机の上に放置したり、相手に改めさせるのは厳しいですが…
- バックデザイン:メイデン・バック
- マーキング:6箇所
- 情報:数字とマーク、カットから上の枚数
総合評価:30点
隠密性:4 | 可読性:6 | 情報量:8 | 価格:6 | 入手性:6
Bicycle Maiden Marked Playing Cards
若干の慣れは必要ですが、マークと数字がデザインに溶け込むようになっているため、隠密性がまず高いと言えます。またネモニカ仕様であり、そのカードと1枚上のカード、枚数目の情報が描かれています。(一時期我々が自作していた Craftsman Deck と同じ構成ですね。)
おそらく、現在入手できるバイシクル系では最も完成度の高いマークトデックであり、コスパも許容できる範囲のものになります。
メイデン・バックであること、読み取りになれが必要であることを許容できるなら第一選択にしても良いかも知れません。
- バックデザイン:メイデン・バック
- マーキング:6箇所
- 情報:数字とマーク、ネモニカ時の枚数目&1枚上のカード
総合評価:30点
隠密性:9 | 可読性:4 | 情報量:8 | 価格:7 | 入手性:2 (7)
2021年11月1日時点で入手できる国内のショップが無く、また既に製造されていない可能性があるため、入手性の評価が下がりました。一応、探せばまだ入手できます。
Marksman Deck
ルーク・ジャーメイによる究極のマークトデック(という宣伝文句)。特徴はその圧倒的な情報量。以前に単体のレビューを書いているのでそちらも参照下さい。
マーキングは左右対称の配置で違和感が少ないようにはなっていますが、ちょっと目立ちすぎると思います…本人は「Perfectly hiding」なんて言っていますが、机に置きっぱなしにすると秒でバレます。マークトであることを疑われたら即刻アウトであるため、マークトデックの扱いに十分に慣れていない人は使うのが怖いと感じるようです。
リフィルが比較的安価なため使いやすいのですが…もう少し隠密性が高ければ…ってところです。
配置的にスプレッドするとほとんどの情報が見える仕様で使い勝手が良いため、上2つよりも出番は多くあります。私の使い方ではそこまで隠密性の低さは気にならないってのもあります。
- バックデザイン:マンデリン・バック
- マーキング:16箇所
- 情報:多数!
総合評価:34点
隠密性:3 | 可読性:7 | 情報量:10 | 価格:8 | 入手性:6
総評(追記:2021年11月1日)
総合評価:Marksman Deck (追記)
各要素のポイント合計値が最も高いのがマークスマン・デック。
あの情報量にしては隠密性が高いと言えますし、慣れている人であればマークに意識を行かせないことができるはずなので、不可能に思えるパフォーマンスが可能になります。
高性能低価格で玄人向けの印象があります。
総合順位:
1位: 34p : Marksman Deck
2位: 30p (35p) : Bicycle Maiden Marked Playing Cards
2位: 30p : Marked Cards
4位: 30p : The Code
5位: 25p : Ultimate Marked Deck
6位: 23p (31p) : Boris Wild Marked Deck
基準とは言え、定量化すると "Ultimate Marked Deck" の順位があまり高くなりませんね…(点数的には50点満点中の丁度半分)
入手性の問題から順位が下がっていますが、本来の1位は "Bicycle Maiden Marked Playing Cards" でした。
同じく入手性により "Boris Wild Marked Deck"(BWMD) は最下位になっているものの、自作することを前提にすれば第2位につくポテンシャルがあります。
コストパフォーマンス:Marked Cards
市販品であれば "Marked Cards" 、自作するのであれば "BWMD" がコストパフォーマンスに優れています。
マークト・カードはある程度の隠密性を確保しつつ、入手性やコスト面が優秀です。
総合評価では同率2位となっていますが、1位がちょっとピーキーすぎるため、使いやすさなどを考慮するとこれが最も良いかも知れません。同じく2位の "Bicycle Maiden Marked Playing Cards" は入手性に問題があるため気軽に使うことができないので、コストパフォーマンスという点ではやはり "Marked Cards" が強いかなと。
ライダー・バック!!:Ultimate Marked Deck , BWMD(自作)
ライダー・バックに強いこだわりがある人は市販品だとアルティメイト・マークト・デック1択です。それかボリス・ワイルド・マークト・デックを自作することになります。
※現在BWMDの一般流通品はフェニックスバックになります
なお、マークが数字と記号ではなかったため、今回の比較レビューからは外していますが、"The Blind Wizard Deck(ブラインド・ウィザード・デック)"というライダー・バックのマークトデックがあります。手作業で加工が施されたマークトデックで、エンド・ストリッパーになっていたり、パンチでマーキングがされていたりと多機能なデックになっています。7200円しますがかなり面白そうなマークトデックではあります。(日本では「東京マジック」が販売しています)
運用については、マークトデックのタイプに関わらず、ボリス・ワイルドの書籍を読むことをオススメします。
個人的感想
もし自分が今回紹介した「市販品」のマークトデックから選ぶなら、 "Bicycle Maiden Marked Playing Cards" を選びます。
非マジシャンの方であればライダーバックのデザインを正確に知っていることは珍しいため、メイデン・バックは許容範囲だと考えていますし、何より隠密性が高いのがストロング・ポイントです。
なお、自作する場合は、独自のマーキングシステムを使います。作り方を含め、気になるかたは note で販売しているのでそちらを見てください。恐らく、それを読んだからと言って「さぁ作ろう!」ってなることはないと思います…(ぶっちゃけ自作は超面倒くさいんで)