本日マジックマーケット2017で出展するデックのお話。
マークト・デックを自作しようと思った理由。
ボリス・ワイルド!
ボリス・ワイルド Transparencyの影響と言ってしまえばそれまでですが…この本を読んで、ボリス・ワイルドのマークトデックに興味を持ったのがきっかけです。
興味を持って調べた時点で、USPCではライダーバックのマークトデックはULTIMATEを除き生産が終了していました。
(ボリス・ワイルド・マークトデックは現在メイデン・バックのみでの提供となっています)
上述の書籍を読んでいたら自作の話があったので、早速白いマッキーで書いて作ったのが恐らく初のマークトデックとなります。
流石にマッキーは太すぎましたし、その後に一番細い白の油性ペンであるぺんてるホワイトで作っても満足行くほどの細さは実現出来ませんでした。
ただ、ボリス・ワイルドのマークトシステムは優秀で、明らかに太く感じたマッキーでも実践に耐えうるものとなっています。マークトを疑われた状態で相手に手渡しをしても気が付かれるまで大凡10分掛かったことすらありました。
ルーク・ジャーメイ!
その後に、ルーク・ジャーメイのMarksman Deckが発表され、ジャーメイファンである私は早々に買ったわけですが、数カ所の不満点があった事、予想していた機構がなかった事、ライダーバックでは無くマンデリンバックだった事などが重なり、オートマティック・デックを自作しようという流れになりました。
デランドによるオートマティック・デックはテーパー加工まで施されていますし、幸い私もテーパー加工をするための工具があったので加工を施すことが出来るということも動機の一部となっています。
また、テーパー加工をすることによりフルデック52枚の天地が常に揃うので、手書きのデメリットである情報量の不足が解消されました。
元々マークトデックは上下が入れ替わっても良いようにカードの中心を点対称に左右で同じ情報が書かれていますが、上下が入れ替わる心配が無いストリッパーデックでは点対称に情報を配置する必要が無く、カードの全面に情報を散らすことが出来ます。
このことにより工場印刷物のMarksman Deckほどではありませんが、5つの情報をカードに載せることを可能としています。
そして、手書きではフォントの自由度が高いため、Marksman Deckよりも遥かに隠密性の高いマーキングとなりました。
ボリス・ワイルドのアイディアを継承し更に発展させたことにより、ボリス・ワイルド・マークトデックの弱点と言われているJ,Q,Kの表記方法に工夫を加えることで、読み取りやすさと隠密性をある程度両立しています。もしかすると、このマーキングのアイディアは完全なオリジナルかも知れません。
少なくとも色々なマークト・デックを見た中ではまだ同じスタイルのものには出くわしたことは無いです。
致命的な欠点
自分でも結構いい出来だと思うこのマークト&システムデックですが、致命的な欠点が2つあります…
それは…
「製作時間」と「ヒューマンエラー」
どちらも手書きであることが原因です。1デックを作るのに2時間以上かかりますし、手作業であるためヒューマンエラーはどうしても避けられません。
デック自体は安価なのですが、塗料や工具等が消耗品で、現在はスタッフに加工の全過程を任せているので販売する場合どうしても価格をある程度上げざるを得ません。今回マジケではあくまで出展目的のため少し価格を抑えていますが、それでも4000円を超えています。
恐らくマジケ出展者中、我々"Trick or Mind"が最も設定価格が高いと思われます(コインなど原価が高いものを除き)。
手作業で作っているので元データを作って印刷して出すというわけには行きませんし、手作業だからこそ出来ることを追求した結果そうなってしまいました(^ρ^)
しかも、システムデックという特性上、デックは複数個持っていたほうが都合が良いので更に出費がかさむことが予想されます…
(ジャーメイのMarksman DeckのPVでは3回スイッチしていたはずなので、デックは4つ必要だったり)
一応2個セットで8000円という価格に設定していますが、売る方も買う方も色々ギリギリなのではないかと…
市販品であるMarksman Deckを引き合いに出していますが、このリフィルは工場生産品で12個買えば1デックあたり1000円くらいで購入できるので、価格だけ見ると全く競争になっていません。
それでも、Marksman Deckより隠密性が高く、マジシャンですら手に持ってからマークトに気がつくまで数分〜10数分の時間が掛かるというのはかなりのアドバンテージだと確信しています(私がマークトデックを使うと知っている面々がそれくらいの時間を要しています)。
以前の投稿で書いたかもしれませんが、Marksman Deckはルーティン後目視できる範囲に放置していると秒でマークトデックだということが露見するレベルです。
もちろんそちらでも取扱にさえ気を使えばバレる可能性は限りなく0に近づけることが出来ますが、せっかく楽な機構のデックなので気を使わずに使いたいと思う方は是非"Trick or Mind 印”のデックをご使用下さいm(_ _)m(販売を終了しました)
追記:マークトデックの作り方について
販売していたマークトデックですが、手間の関係で再生産をする予定が全くないため、作り方を"note"にて販売することになりました。
「マークトデックの作り方」
(外部リンク:クリックするとnoteに移動します)
過去に試した素材や製法についてまとめています。ただ…正直これを読んで実際に「作ろう!」と思う人がどれだけいるかは何とも言えません。