練習したほうが良いですよというお話。

 

ブルース・バーンスタインの本でも、彼はエリクソンの影響を受けていると話していますし、メンタルマジックと催眠術の親和性は割りと高かったりします。

 

ダレン・ブラウンとリチャード・オスタリンドの共通点を知っていますか?

ダレン・ブラウンはイギリスの人気メンタリスト(注:本人はメンタリストと名乗っていないし、WEBページのどこにもメンタリストやメンタリズムという単語は使われていない)で、リチャード・オスタリンドはアメリカのメンタリスト(どちらかと言うとマジシャンより)でマインド・ミステリーズというメンタルマジックのレクチャーDVDが日本語字幕付きででていますね。

 

この2人の共通点…ソースはやや不確かなのですが…どちらもマジックよりも先に催眠術をやってたというのがあります。

スプーン曲げからの催眠術ってのもオスタリンドはかなり前からやっていますし、彼の影響は直接的間接的に色々な人に伝わっているかと思います。

催眠奇術師Birdie氏やメンタリストDaiGo氏のベンディングもオスタリンドとやり方が似てますしね…(似てるというよりはベースにしているというのが正しいかもしれません)

 

ダレン・ブラウンに関しては特に言うことはありません…

YouTubeで調べればステージやらテレビの企画が山ほど出てくるのでそちらを見て頂ければと思います。

前置きが長くなりました、マジシャンが催眠術を覚える、練習した方がいい理由は、観客のコントロール(マネジメントとも)、サイコロジカルなフォースが上手くなるからです。

催眠術をやっていると被験者を非常に良く観察するようになりますし、言葉の選択による影響を深く考えるようになります。そのことはマジックをする際に有利に働きます。

サイコロジカルフォースの確率が上がるのはもっと単純で、サイコロジカルフォースの内メンタルフォースと呼ばれるものは言語的な暗示や、非言語的暗示を利用しているからです。

催眠状態にするほどではないけれども、相手の瞬間的な意思決定に僅かな偏りを持たせる程度の暗示でフォースは成り立ちます。

逆に言うとそういうフォースが出来るのであれば、催眠術に移行するのもそう難しくないとうわけです。私なんかはそっちのパターンで、元々サイコロジカルフォースが得意で色々やっているうちに催眠術に行き着いたという感じです。

催眠術を覚えてから、その技術をサイコロジカルフォースに逆輸入(?)して、幅が広がり、確率も上がりました。

 

催眠術を覚えるなら、特にエリクソンの記録を見ると良いかと思います。彼の臨床記録ををまとめている本は結構でていますし、読んでいると、「この部分サイコロジカルフォースの一種じゃね?」とか「マジシャンかよ…」と思える部分が結構あります(笑)

催眠の現実」では練習の一環で昔の霊能力者(メンタリスト)等の手法を勉強したほうが良いみたいな事が書かれているので、やはりそちら側の要素が大いにあるようです(エリクソンはコールドリーディングも得意で、セラピーに応用されています)

 

この辺は催眠術師がマジックを練習すべき理由になってしまいますがね…

エリクソン催眠の再現性が低いとか、彼にしか出来ないと言われているのは、エリクソンを研究している人がマジックの知識が全く無かったからなのでは?とすら私は思っています。

他に催眠術師がマジックを覚えた方が良い理由は…

  • 見た人の感情の変化を引き出しやすい
  • 接するときの態度や姿勢について深く考えるようになる
  • 驚愕法がやりやすくなる

この3点だと思います。

 

マジックは観客がいてこその芸で、催眠術はクライアントがいてこそ成り立ちます。マジシャンはあまり重視していないのですが、どちらもラポールが重要です。

マジシャンがラポールについてあまり頓着しないのは、恐らくですが、現象>人と考えているからだと思います。現象が凄ければ、それを演じている人も自然にも信頼が集まるという考え方です

もちろん、それはそれで正しいです。現象を起こすために練習をして、実際に見ている人を驚かせるという行動は一種のラポールを形成します。特にしっかりとした練習は、実演中に態度に現れます。

自信のある態度はマジックや催眠術どちらにおいても重要なファクターです。マジックは催眠術よりもやることがはっきりしているので、練習がしやすく自信を付けやすいのです。

周りに純粋な催眠術師がいないので断言は出来ませんが、マジックが出来るというのは自信につながるだけでなく、反復練習の重要性を認識出来ますし、練習方法の選定に役立つはずです。

マジシャンは自分の演技を鏡や最近ではスマホで撮影してチェックします。これ実は催眠術を練習する時にも役に立ちます。

被験者がいない状態でもセリフと身振り手振りに説得力があるかがわかりますし、被験者がいる状態で撮影していれば(もちろん許可は必須!)暗示に拠る効果、表情等の身体表現の変化が度のタイミングで現れているかを客観的に判断できます。

それとマジックをしていると、ウソを付くのがうまくなります(笑)

人によっては、というか私はですが、極力を嘘を付かずに、真実も語らないというという話し方を良くします。嘘をつくのは心理的な負担があり、それが無意識に相手に伝わることがありますが、それを回避する方法としてそのような話し方をしています。(マジシャンの罪悪感、メンタリストの罪悪感とも言われる)

それで徐々に嘘をつく回数を増やせば、立派な嘘つきが出来上がります(笑)

催眠術をやる際に、ハッタリ、ブラフは意外と重要なので、そこで不自然が出ないようにするには、練習するにはマジックが適しているのではないかと思います。

3つ目の驚愕法はおまけみたいなもんで、マジックをしていると人が意思決定をするタイミング、驚くタイミング、何をしたら驚くのかが何となく分かるようになります。特に驚くタイミングと適切な驚かせ方を知っていると、驚愕法がやりやすくなります。

タイミングがわかっていれば、予めそこにあわせてセリフや動作などを用意しとけば良いわけで…

 

最後にもう1つ付け加えるとすると…

催眠術をする前にするマジックはちゃんと選んだほうが良いですね…全てのマジックが催眠術と相性が良いわけでもありませんし、むしろそのマジックをすることで催眠術の成功率が下がってしまうということもあります。

その辺はキャラクターにもよりますし、自分でやってみないことには分かりません。