催眠術によくある3つの誤り

ここのところ別件で忙しく、全くマジック関連のモノに目を通していないので催眠関連のお話をします。アスカニオ本とか色々買ってはいるものの、どうせ他の読んだ人がレビューをアップしてくれると思っているので、私が書く必要も無いかなと。他には某ペンギンライブが良かったのですが、諸事情によりレビューする気が全くなかったりします(^ρ^)

ちなみに、凄く情報商材っぽいタイトルになっているのは最近その手の話を聞いたせいです(ぉぃ)
※この投稿自体は3週間くらい前から書いていて、その時にTwitterで情報商材の話を見かけています。

実際には3つもなかったので、無理やり3つにまとめています!

しかも、過去の投稿でも何回か言及していることも含まれているので、誤りを誤りだと思っていない人もここの読者にはいる可能性があります。

よくある3つの誤り

催眠は硬直から始める

未だにこう考えている人が案外多いように感じます。特にパフォーマー。これは有名なレクチャーのほとんどが硬直(カタレプシー)を起こすことを第一歩としているせいだと予想されます。

これは完全な誤りとは言えず、ショー催眠で観客数が多く、その中から催眠感受性が高い人を探す場合には効果的な手法です。

個別(対少数)に催眠術をやる状況に於いては、カタレプシーから始めるのは非効率的です。

更にいうと、よく見かける被暗示性テスト(ブック&バルーンテストやマグネティックフィンガー)は基本的に運動系(+知覚・認知系)とカタレプシーとは別にカテゴライズされています。つまり、カタレプシーはカテゴリが違う催眠を行うことになってしまうため、効率があまり良くないと言わざるを得ません。運動系に反応があったからと言って、硬直に接続できるとは限りません…

それにも関わらず、催眠の最初のステップとしてカタレプシーを入れようとする人が多く、そこで上手くいかないと被験者が催眠にかかりにくいタイプだと判断する(或いは被験者に問題があると責任をなすりつける)人が多い印象があります。

私生活で何故か「何人か催眠術師が試したけど全く掛からなかった」人によく遭遇しますが、ほぼ例外なく全員カタレプシーが起きずに諦めているパターンなんですよね… 実際に試してみると催眠に掛からない人はおらず、カタレプシー以外はちゃんと起きますし幻覚が起きる人もいました。

「カタレプシーが起こらない≠催眠に掛からない」です。

被暗示性テストはやった方が良い

現代的な医療系で使われる催眠手順ではカタレプシーも被暗示性テストもやりません。

これも対多人数向けのアプローチで、大人数の名から催眠術に掛かりやすい人を素早く見つけるための手法に過ぎません。繰り替えにしなりますが、被暗示性テストで反応が良いからと言って必ずしも催眠術に掛かりやすいわけではないので、個人や少人数向けにやる場合は被暗示性テストの意味があまり無いです。

被暗示性テストをやる最大のメリットは、「なんとなく催眠術をやっている雰囲気が出ること」にあります。催眠術にとって雰囲気は大事です(詳しくは後述!)

ちなみに、イギリスのジェームズ・ブラウンがやる催眠ルーティンでは被暗示性テストはやらずに、いきなり足が動かなくなる現象から始めて、それから別の現象に覚醒状態のままどんどん繋げていきます。これは別に珍しいケースではなく、現代的な手法ではよくあるパターンだったりします。

イギリス勢はジェームズ・ブラウン、ルーク・ジャーメイ、ダレン・ブラウン、ベンジャミン・アールと暗示を使ったルーティンや催眠術をやる人が多い印象があります。また、ジャーメイ以外は被暗示性テストをあまりやらないのではないでしょうか? ジャーメイに関しては演出としてやるだけで、その後に催眠術をやっていませんし、実際に暗示を使うルーティンの場合は被暗示性テストをやらないどころか催眠術っぽさがほぼありません(スカルダガリとか)。本人も「催眠術ではない」と言ってますしね…

海外ドラマの『メンタリスト』を見た人も分かると思いますが、主人公のパトリック・ジェーンが催眠術を行う際は、被暗示性テストから始めずそのまま暗示を入れていくスタイルになっています。これも別にフィクションではなく現代的なアプローチだったりします。(ドラマ『メンタリスト』に出てくる催眠術は、相手の掛かりやすさは別として、掛け方そのものはかなり現実的な方法が採用されています)

催眠術は本当にある/ない

「催眠術って本当にあるんですか?」という質問が非常に多くあります。しかもこれ、「ある」とも「ない」とも言えなかったりするんですよ…

Hypnosis may be defined as a social interaction in which one person, designated the subject, responds to suggestions offered by another person, designated the hypnotist, for experiences involving alterations in perception, memory, and voluntary action.

(出典元違うかも…2014年の論文だったかもしれません…違ってたら後で訂正します…)

「催眠術とは被催眠者が催眠を行っていると互いに認識する状況において、被催眠者が催眠者から一連の誘導手続きを受け、行動や主観的体験の変化・変容を意図する暗示に対して反応することを求められ、被催眠者がそれに応じた反応や体験を示すこと。」

(適当翻訳)

非状態論よりの理論では、催眠術についてこう言われています。

つまり!催眠術という文脈がある中で、トリックでも暗示でも勘違いでも何らかの現象が起きて、相手が「これは催眠術!」と感じれば、それは催眠術であり、催眠術が存在することになります。

これは催眠状態の有無に関わらず成立しますし、非常に合理的な考え方です。

(相手に催眠術だと気が付かせないまま行う方法も存在しているので、この説明では不十分な気もしています。それについては別の補足が必要そうですが、今回は触れない方向で…)

少し前の投稿で、A氏が「何となく形式付けて遠回しにお願いしていることを催眠術というのであれば、心理学だかなんだかで使われる視線誘導や相手の動きに合わせて同じことをして高感度を上げるどうのこうのみたいなものとの違いはなんでしょう。境目は一体何?仰々しくやっているのが催眠術?」(下記リンク参照)なんて言ってましたが、これも上の説明に合致します。

お互いが催眠術だと思ってれば催眠術として成立するわけですから、仰々しくやることにこそ意味があります。また、心理テクニックと催眠術に具体的な違いは無いと考えるのは、正に非状態論的な考え方で現代的です。

個人的な意見としては、催眠術は心理学的なテクニックを利用したテクニックの総体であり、催眠術という特異なテクニックは存在しない、ですかね…

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まとめ

どのくらいの催眠術師がそうであるかは把握していませんが、私が知っている、或いは見たことがある人の殆どはトランスの6ステップ等、古いマニュアルや理論(?)に囚われすぎている印象があります。

マニュアルは習得する上では有利ですが、そのマニュアルがあまり正しくない、或いは特定条件での使用が前提になっている場合、全てをマニュアル通りに進めようとするのは問題です。それでカタレプシーができないからといって催眠を放棄するなんてのは勿体無いですし、催眠術をやる人が増えない原因でもありそうです。

まぁ…催眠術師が増えると競争が激しくなりますし、敢えて古い情報を訂正せずに使い続けている可能性もありますが…(゚∀゚)

一部のマニュアルを疑い自分で工夫する人、実戦経験が豊富でそこから学ぶ人だけが生き残るのも、ある意味正しい状態なのかもしれません。

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